ひき割り

勾玉制作は碧石の原石中から濃い緑一色を探し、石を板状にするところから始まる。職人は、何工程にも及ぶ削りの前段階として、高いクオリティが予想できる碧石を見極めながらカットし、洗い出していく。もともと石の中にあるカン(ヒビ)を察知するために石を触り、水の浸み具合を見て、灯油をかけながらカッターで切り落とす。色味の違いを吟味し、まばらな模様や、途中に穴がないよう最も良質な箇所を選び出すのだ。

硬度が高く粘りのある碧石は翡翠の数倍も加工しにくいと言われるが、熟練の職人は用途に合わせて引いたラインに対して、寸分の違いなく次々と削っていく。またその際に電動カッターの熱がこもらないよう大物と小物を交互に施し、温度上昇もコントロールする。

スタート時は30㎝程ある貴重な原石から、実際に勾玉として採用されるものは全体の1割にも満たない。制作に相応しい碧石が厳しい目利きで選び出され、細工へと進んでいく。