バレル研磨

形作られた勾玉の最終工程は「バレル研磨」。石同士のぶつかり合いによって研磨していく加工法で、川の下流や海岸にある石が、角が取れて丸くなっているのと同じ原理である。仏像や彫刻を専門とする職人も使用する技術だ。

全長30㎝の八角形の樽容器に、勾玉と緩衝材代わりのその他の石のミックス、碧玉の硬度や特性に合わせたセラミック研磨剤を入れる。水を加えて、回転バレル研磨機にのせ、鉄の棒の枠の中で回転運動による振動を与える。緩衝材となる石によって削り過ぎを防ぎ、適した調合による研磨剤は石のツヤを出していく。碧玉と同質である瑪瑙のくずや丸くなった石を多用し、角張った小石も丸石を作るために加える。この樽を二日間夜通しで回し続け粗い砂だけの研磨を行い、洗い流して二日間アレキ酸での下ヅヤ、総仕上げの磨きという三つ工程を行う。

この磨き方の他にも振動バレルという方法があるが、勾玉のひねりのえぐり部分までよく磨くためには回転バレルの方が適している。

最終的にはざらざらとした肌触りからツルンとした石に変わる。どこまで光らせることができるかは、石の質を知り尽くし調合する職人の技の見せ所。石の光の具合が技術の高さを表している。