丸く整える

太古より人々を魅了してやまない勾玉。その製作において、当店が長い年月をかけて追及したのが勾玉の外形だ。独特な神秘性が漂う、ひときわ美しい背中部分のまるみには、厚みやそのカーブ、膨らみ具合などの細部にまで「めのうの店 川島」のこだわりがあり、職人の魂が宿っている。

職人は1800回転/分の研磨機を動かし、水に溶かした砂状の研磨剤を握った手を刃に被せるようにしながら、研磨剤をかけて削っていく。長年培った技術と勘で迷いなく石を刃に当て、遠目にも存在感のあるふっくらとした丸みを形作る。くりぬかれたようなひねりのえぐり部分は厚みのある刃で加工され、丸みを保った重厚感が作られていく。出雲地方でしか採れない緑の貴石が美しく存在するために、理想の姿に仕上げられるのだ。硬質ながらも粘りがある碧石から、他にない玲瓏たる品位が生み出される瞬間である。